外来
平日
受付
9:00-12:30
13:30-17:15
診療
9:30-
14:00-
土曜
受付
9:00-12:30
診療
9:30-

「あれ?急に耳が聞こえにくい…」もしかしたら突発性難聴かも?

突発性難聴について | 当院ブログ

「あれ?急に耳が聞こえにくい…」もしかしたら突発性難聴かも?

今回は、「あれ?急に耳が聞こえにくい…」そんな経験はありませんか? もしかしたら、それは「突発性難聴」かもしれません。名前は知っていても、どんな病気なのか、どうすれば良いのか、よく分からないという方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、突発性難聴について、当院のブログでご紹介したいと思います。

耳に手を当てる人のイラスト

突発性難聴って、どんな病気?

突発性難聴は、文字通り、突然、耳の聞こえが悪くなる病気です。健康だった人が、まるで前触れもなく、ある日突然発症するのが特徴です。そして、通常は片方の耳に起こることがほとんどです。

予兆もなく突然起こるのがこの病気の特徴で、聞こえにくさ(難聴)のほかに、耳鳴りや、耳に水が入ったような詰まった感じを伴うことがあります。また、発症する前後でめまいが起こることもありますが、このめまいは一度きりで繰り返さないことが多いです。

なぜ起こるの?原因と関係があること

残念ながら、突発性難聴のはっきりとした原因はまだ分かっていません…。しかし、いくつかの要因が関係していると考えられています。

有力な説としては、耳の中の血流が悪くなる「血流障害」や、ウイルス感染が挙げられます。耳の奥には、音を感じ取るためのとても大切な細胞がたくさんありますが、これらの細胞は非常にデリケートで、血流が滞ったり、ウイルスによって炎症を起こしたりすると、機能が損なわれてしまうのです。

耳の内部の血流イラスト

また、突発性難聴になりやすい傾向がある方もいらっしゃいます。例えば、以下のような生活習慣や状態の方です。

  • 睡眠が不足している方
  • 不規則な生活を送っている方
  • 多量にお酒を飲む方
  • 疲労がたまっている方
  • 糖尿病をお持ちの方

これらの要因は、血流障害や、ウイルスと闘う体の力(免疫力)の低下に関わってくると考えられています。特に疲労は、ご自身では気づいていないうちにたまっていることもありますので、どなたでも注意が必要です。

「おかしいな」と思ったら、すぐに受診を!

突発性難聴で一番大切なのは、「あれ?」と思ったら、迷わず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診していただくことです…。

「一時的なものかな」「様子を見ようかな」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、それは絶対に避けてください。時間が経ってしまうと、耳の奥の音を感じる細胞が壊れてしまい、聞こえが元に戻りにくくなってしまう可能性があるからです。耳の中には細かい血管がたくさんあり、血液や酸素が常に供給されていますが、血流が途絶えると細胞が壊れてしまうのです。

治療は、発症した日から数日以内、遅くとも1週間以内には開始したいと考えています。早期に治療を始めることで、細胞が壊れる前であれば、聞こえが改善する可能性が高まります。

どんな治療をするの?

現在のところ、突発性難聴の「これさえ使えば治る」という特効薬はありませんが、原因として考えられている血流障害やウイルスにアプローチする治療を行います。

治療の中心となるのは、「ステロイド薬」です。ステロイドは、血流障害などによって細胞に起こるむくみや炎症を抑える働きがあります。点滴や内服で使用することが一般的です。

点滴治療のイラスト

ステロイドの副作用を心配される方もいらっしゃいますが、糖尿病など持病がある方で全身への影響が心配な場合は、鼓膜に小さな穴を開けて耳の中に直接ステロイド薬を注入する方法もあり、この方法であれば全身への副作用の心配はほとんどありません。

また、ステロイド治療と併せて、耳の血流を良くする血管拡張薬や、代謝改善薬、ビタミン剤なども補助的に使用することがあります。

治療期間中は、できるだけ安静に過ごすことが大切です。そのため、入院して集中的に治療を行うことが勧められる場合も多いですが、状況によっては通院での治療も可能です。いずれにしても、とにかく早く治療を始めることが重要です。

薬物療法で十分な改善が見られない場合には、「高気圧酸素療法」という治療法も選択肢の一つです。これは、専用の装置の中で高い圧力をかけ、酸素を吸入することで、耳への血流や酸素供給を促進する治療です。よくリラクゼーション施設などにある酸素カプセルとは異なり、医療用の機器を用いた治療になりますのでご注意ください。ただし、高気圧酸素療法も、やはり早期に開始しないと効果が得られにくいことが多いのが現状です。

治療後の経過と注意点

適切に治療を行った場合、目安としては1~2週間で改善が見られることが多いです。中には、治療を始めてすぐに良くなる方もいらっしゃいます。

しかし、発症したときにめまいを伴っていた場合や、全く音が聞こえなくなってしまう高度な難聴だった場合は、残念ながら治りにくい傾向があります。さらに、発症してから1ヶ月以上経過してから治療を開始した場合も、改善が難しくなります。

もし、治療をしても聞こえが完全に回復しない場合でも、多くの場合はもう片方の耳は聞こえますので、聞こえる耳で生活を送っていくことになります。

まとめ

突発性難聴は、いつ誰にでも起こりうる病気です。「突然、片方の耳の聞こえが悪くなった」「耳鳴りがする」「耳が詰まった感じがする」といった症状に気づいたら、「そのうち治るだろう」と軽く考えず、すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。

早期発見、そして何よりも早期の治療開始が、聞こえを取り戻すための鍵となります。

気になる症状がありましたら、どうぞご遠慮なく、当院にご相談ください。

当院外来予約
一覧へ