2024年度の新型コロナワクチンの有用性についてー(呼吸器学会、感染症学会、ワクチン学会)
- その他
日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会は2024年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解を発表しました。(定期接種に関する見解 2024年10月17日)
コロナワクチンの重要性と3学会の推奨理由
- ●推奨の背景:
- 日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会は、高齢者が新型コロナウイルス(COVID-19)に感染した場合、インフルエンザよりも重症化や死亡のリスクが高いことを示しています。特に2024年冬の感染拡大に備え、ワクチン接種で予防することが重要だと強調しています。
- ●過去のデータによる裏付け:
- 新型コロナワクチンは、感染を防ぎ、重症化リスクを減らす効果があることが世界中のデータから確認されています。例えば、日本ではワクチンが導入されていなかった場合、感染者数や死亡者数が大幅に増えていたと推定されています。
接種の対象者と費用負担
- ●対象者の条件:
- 2024年の定期接種は、65歳以上の高齢者、および心臓や呼吸器に基礎疾患を抱える60~64歳の人が対象となっています。
- ●費用の詳細:
- 接種費用は原則7,000円で、地域の自治体からの助成により一部または全額免除される場合もあります。このため、居住地域によっては自己負担が異なることがあります。
コロナウイルスの変異と再流行のリスク
- ●変異の影響:
- 新型コロナウイルスは頻繁に変異するため、過去に感染したりワクチン接種を受けたりして得た免疫が効きにくくなることがあります。特に、オミクロン株が次々と変異しており、免疫を回避する力が強まっています。
- ●日本国内の感染状況:
- 日本では、2024年冬の第10波や夏の第11波で高齢者の感染が増加しました。高齢者施設での集団感染も発生しており、感染の予防が非常に重要です。
高齢者の免疫獲得とワクチンの必要性
- ●自然感染と免疫率の低さ:
- 日本国内のデータによれば、高齢者は若年層に比べて自然感染による免疫を持つ人が少ないとされています。したがって、ワクチンによって積極的に免疫を獲得することがCOVID-19の予防において重要です。
流行株に対応したワクチン接種の必要性
- ●効果低下への対応:
- ワクチンの効果は数か月で低下するため、変異株に対応した新しいワクチンが必要です。2024年10月から、日本でも最新の流行株「JN.1」に対応するワクチンが使用される予定です。このワクチンは、現在流行している「KP.3」株にも効果が期待されています。
提供される5種類のワクチンとその特徴
- ファイザー・モデルナ・武田薬品・第一三共・Meiji Seika ファルマから、以下の5種類のワクチンが提供されます。それぞれのワクチンは、異なる製造方法で作られていますが、すべて高い効果が確認されています。
- ●コミナティ(ファイザー):最も多く使われているmRNAワクチンで、高い発症・重症化予防効果があります。
- ●スパイクバックス(モデルナ):ファイザーと同じmRNAワクチンで、強力な免疫反応を誘導します。
- ●ヌバキソビッド(武田薬品):遺伝子組換えタンパク質を使ったワクチンで、従来のワクチンと似た製造方法です。
- ●ダイチロナ(第一三共):日本国内で唯一、国産で製造されたmRNAワクチンで、スパイクタンパク質の一部を使って効果を高めています。
- ●コスタイベ(Meiji Seika ファルマ):次世代の「自己増幅型」mRNAワクチンで、少量の投与で免疫を誘導できる新しいタイプです。
- ●コミナティ(ファイザー):最も多く使われているmRNAワクチンで、高い発症・重症化予防効果があります。
コロナ後遺症のリスクと予防効果
- ●後遺症のリスク:
- 新型コロナウイルスは、感染後に長期的な後遺症を引き起こすことがあり、特に高齢者では心血管疾患、呼吸器疾患、認知症リスクが増加するとされています。
- ●後遺症予防効果:
- ワクチンは感染予防だけでなく、感染後に後遺症が残るリスクも軽減することが報告されています。特に、複数回接種することで後遺症の発症頻度が低下します。
ワクチン接種とインフルエンザワクチンとの併用
- ●インフルエンザと同時接種:
- インフルエンザワクチンと同様、新型コロナワクチンも定期的に新しい株に対応したワクチン接種が必要です。特に、インフルエンザとコロナの流行が重なる冬に備え、同時接種が推奨されています。
ワクチンの副反応とリスクへの配慮
- ●副反応のリスクと安全性:
- ワクチンの接種後には発熱や倦怠感といった一過性の副反応があるものの、重篤な副反応が起こる頻度は非常に低く、安心して接種できるとされています。
- ●医療従事者との相談:
- リスクを正しく理解した上で、信頼できる医療従事者と相談しながらワクチン接種を決めることが推奨されています。
3学会は、科学的根拠に基づき、高齢者が最新のコロナワクチンを年に1回以上接種することで、感染や重症化を予防し、健康を守ることができると提案しています。