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脂漏性皮膚炎って何?


  • 脂漏性皮膚炎とは:
  • 皮脂分泌が多い部位に赤みやフケ、かゆみを伴う炎症が起こる皮膚病です。多くの場合、再発を繰り返しやすく、慢性化しやすいのが特徴です。

  • 炎症とフケの生成:
  • 脂漏性皮膚炎におけるフケは、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が異常に早く進行し、未成熟な皮膚細胞が剥がれ落ちることで生じます。このため、フケは細かく、かさぶたのように固まることもあります。


  • 顔の脂漏性皮膚炎:
    おでこや鼻周りなど皮脂が多い部位が赤くなり、皮膚の表面に黄色や銀白色のフケが生じます。かゆみも伴うことが多いですが、症状の重さには個人差があります​。

  • 頭皮の脂漏性皮膚炎:
    髪の生え際に赤みが出て、フケが頭皮全体に広がることが多いです。頭皮は皮脂腺が非常に多く、症状が進むとかさぶたができ、髪の毛が抜けやすくなる場合もあります​。


  • 顔面(特におでこ、鼻の周り)、頭皮、胸、背中、わき、へそ周り、脚のつけ根、肛門周りなど、皮脂が多く分泌される場所や皮膚がこすれやすい部位に多く見られます。特に顔面は87.7%、胸は26.8%と、発症率が高い部位として挙げられています。


脂漏性皮膚炎は単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症します。

  • 皮脂分泌の異常:
    皮脂腺の働きが活発になると皮脂が過剰に分泌されます。この皮脂が酸化することで皮膚のバリア機能が低下し、炎症を引き起こす原因になります。

  • 皮脂成分の異常:
    皮脂の成分に変化が起こると、皮膚の保護機能が弱まり、炎症を誘発しやすくなることがわかっています。

  • マラセチア菌の関与:
    マラセチア菌は皮脂をエサに増殖します。増殖過程で出る代謝産物が皮膚を刺激し、脂漏性皮膚炎の悪化や再発の引き金となると考えられています。

  • ビタミンB群の不足:
    ビタミンB2やB6など、皮脂の代謝に関与するビタミンが不足することも、脂漏性皮膚炎の悪化につながる可能性があります。

  • 乾燥と季節の影響:
    乾燥する秋や冬は、皮膚のバリア機能が低下しやすく、脂漏性皮膚炎が悪化しやすい傾向があります。

  • その他の因子:
    精神的ストレス、紫外線、化粧品、肥満(特に若年男性)も影響を及ぼすと考えられています。


脂漏性皮膚炎の治療は、薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせたアプローチが基本です。

薬物療法

  • ステロイド外用薬:
    炎症を抑えるために使用され、症状の強さに応じて軟膏、クリーム、ローション、シャンプーなどの剤形が選ばれます。長期間の使用には副作用のリスクがあるため、医師の指導のもとで使用することが大切です。

  • 抗真菌外用薬:
    マラセチア菌の増殖を防ぎ、症状の緩和に役立ちます。重度の脂漏性皮膚炎にはステロイド外用薬と併用することが多く、クリーム、ローション、スプレーなどの形状があります。

  • 抗ヒスタミン薬(内服薬):
    強いかゆみを伴う場合に処方され、かゆみを抑えるために使用されます。



生活習慣の改善

脂漏性皮膚炎の悪化を防ぐため、生活習慣の改善も重要です。

  • 規則正しい生活習慣:
    睡眠不足やストレスは脂漏性皮膚炎を悪化させる要因です。不規則な生活を避け、十分な休息とストレス発散を心がけましょう。

  • 食事改善:
    ビタミンB群を含むバランスの良い食事を心がけ、動物性脂肪や糖分の多い食品は控えるとよいです。アルコールやタバコは症状を悪化させるため、控えめにすることが推奨されています​。


脂漏性皮膚炎の症状を軽減し、再発を防ぐために、日常生活でできるケアや注意点がいくつかあります。

洗顔・入浴

  • 皮脂汚れの除去:
    脂漏性皮膚炎の悪化を防ぐためには、毎日の洗顔と入浴が重要です。皮脂がたまると炎症が悪化する可能性があるため、特に顔や頭皮など皮脂が多く分泌される部位は丁寧に洗います。

  • 洗顔のポイント:
    洗顔時は強くこすらず、優しく洗うことが重要です。石鹸や洗浄剤は肌に残らないように十分にすすぎ、洗顔後には保湿剤を使用して皮膚のバリア機能を保つようにします。


洗髪と頭皮のケア

  • シャンプーとすすぎ:
    シャンプーは適量を使い、頭皮を指の腹で優しくマッサージするように洗い、しっかりとすすぎます。シャンプーやリンスが頭皮に残ると、かゆみやフケの原因になるため、すすぎは十分に行いましょう。

  • リンスやコンディショナーの使い方:
    頭皮に直接つけず、毛先にのみ使用することで、皮脂分泌が多い頭皮への刺激を最小限に抑えます。洗髪後はドライヤーでしっかりと乾かし、湿気が残らないようにします。



ブラッシング

  • 適度なブラッシング:
    頭皮を傷つけない程度に、動物の毛でできた柔らかいブラシを使用してブラッシングを行うとよいでしょう。ブラッシングにより、頭皮の血行が良くなり、毛穴の詰まりを防ぐ効果も期待できます。



整髪剤の使用

  • 整髪剤の選択と使用法:
    ワックスやヘアクリームが原因で症状が悪化することがあるため、使用する場合には毛先に少量をつけ、頭皮に直接つけないようにします。また、帽子やタオルで頭を覆う際も、通気性の良いものを選び、蒸れないように心がけましょう。


脂漏性皮膚炎に関するよくある疑問について、以下のような対処法が推奨されています。

  • メイクについて:
    顔に脂漏性皮膚炎の症状があるときは、メイクを控えることが望ましいとされています。メイクをする場合には、低刺激性で油分が少ないファンデーションを選ぶことが推奨されます​。

  • マスクの選び方:
    顔の脂漏性皮膚炎がある場合、蒸れやすいマスクは症状の悪化につながる可能性があります。通気性の良いマスクを選ぶことで、皮膚への刺激を減らし、炎症を和らげる効果が期待できます。

  • プールや温泉の利用:
    プールでは塩素が皮膚に残らないようにしっかりと洗い流し、温泉から上がった後も皮膚の汚れを十分に洗い流すことが大切です。露天風呂の場合、枯葉やゴミが肌に付着しやすいため、特に注意が必要です​。


脂漏性皮膚炎は完全に治すのが難しく、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性の病態です。しかし、適切な治療を継続し、セルフケアを徹底することで症状を管理し、長期間良い状態を保つことが可能です。

  • 根気よく治療を続ける:
    毎日のスキンケアや生活習慣の見直しによって症状をコントロールし、悪化を防ぐことが求められます。日々のケアが症状改善の大きな鍵となります。

  • 再発防止のポイント:
    特に秋から冬にかけては乾燥により症状が悪化しやすいため、保湿ケアを徹底し、規則正しい生活習慣を心がけることが重要です。


脂漏性皮膚炎は皮脂分泌やマラセチア菌、生活習慣など複数の要因が絡み合って発症するため、効果的な管理には治療とセルフケアの両面からのアプローチが求められます。再発しやすい疾患であるため、日々のスキンケアや規則正しい生活習慣の維持、バランスの取れた食生活が重要です。また、治療とセルフケアを並行して行うことで、症状をコントロールしやすくなります。

脂漏性皮膚炎の管理には、医師と相談しながら、自己管理と生活習慣の改善を続けることが大切です。

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