外来
平日
受付
9:00-12:30
13:30-17:15
診療
9:30-
14:00-
土曜
受付
9:00-12:30
診療
9:30-

人生100年時代!高齢者のリウマチと賢く付き合うには?~知っておきたい治療と管理のポイント~

こんにちは。上田診療所 院長の上田です。

私たちの住む日本は、世界でも有数の長寿国です。本当に素晴らしいことです。

一方で、社会全体が高齢化していく中で、医療のあり方も少しずつ変化しています。

特に、リウマチなどの病気と長くお付き合いされている方や、ご高齢になってからリウマチを発症される方も増えてきました。

「年をとってからリウマチってどうなるの?」「薬が増えてきて心配…」「体に良い生活ってあるの?」

今日は、そんな皆さんの疑問にお答えできるよう、高齢者のリウマチとの向き合い方について、一般的な医療機関や専門医が考える「治療と管理のポイント」について、分かりやすくお話ししたいと思います。



「リウマチ」と一言で言っても、発症する年齢によって少し特徴が違うことがあります。特に60歳以降に発症する「高齢発症リウマチ」(LoRA)は、若い方と比べて次のような傾向が見られることがあります。

特定の関節だけでなく、全身の倦怠感や朝のこわばりなどが強く出ることもあります。

指や手首だけでなく、体に近い大きな関節の腫れや痛みが目立つことがあります。

ゆっくり進むこともありますが、時には急に進むこともあります。

リウマチ以外の持病(糖尿病、骨粗鬆症、心臓病など)をお持ちの方が多くいらっしゃいます。これは「多病併存(マルチモビリティ)」と呼ばれ、治療を考える上でとても重要になります。

合併症や年齢による体の変化を考慮しながら、一人ひとりに合った薬を選ぶ必要があります。

もちろん、若い頃からリウマチと付き合ってこられた方が、そのままご高齢になるケースも非常に増えています。どちらの場合も、年齢を重ねることで合併症が増えやすく、日常生活の質(QOL)に影響が出やすいという点は共通の課題です。



複数の病気があると、どうしてもお薬の種類が増えてしまいがちです。これが「ポリファーマシー(多剤併用)」と呼ばれる状態です。

リウマチのお薬だけでなく、血圧のお薬、糖尿病のお薬、胃薬など、多くの薬を飲んでいると、次のような問題が起こりやすくなります。

薬同士の相互作用で、思わぬ副作用が出たり、副作用が強く出たりすることがあります。ふらつきや転倒、物忘れなどが薬のせいで起きている場合も指摘されています。

薬の種類が多いと、いつどの薬を飲むか分からなくなったり、うっかり飲み忘れたり、逆に多く飲んでしまったりする可能性があります。

もしかすると、今は必要のない薬を漫然と続けてしまっているかもしれません。

大切なのは、今飲んでいるお薬が本当に全て必要かどうか、副作用が出ていないか、定期的に医療従事者と見直すことです。お薬手帳は、ぜひ毎回診察時に見せてくださいね!薬剤師さんとの連携も、安全な薬物療法には欠かせません。最近では、飲む薬の数を減らすために、複数の成分が一つになった合剤や、週に一度の注射など、工夫されたお薬も開発されています。



リウマチの治療で使うお薬の中には、体の免疫の働きを調整するものがあります。そのため、残念ながら、感染症にかかりやすくなることがあります。特に注意したいのは、肺炎や帯状疱疹、B型肝炎などです。

ご高齢であること、ステロイド(グルココルチコイド)を使っていること、肺の病気や糖尿病があることなども、感染症のリスクを高める要因になります。



基本ですが、本当に大切です!特に外出先から帰った後や食事の前は、丁寧に手洗いをしましょう。

肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチン、季節性インフルエンザワクチンなどは、感染症予防にとても有効です。ご自身の接種状況を確認し、医師にご相談ください。

お口の中を清潔に保つ(歯磨き、デンタルケア)ことは、肺炎などの感染症予防につながります。

喫煙は肺炎のリスクを高め、薬の効き目にも影響を与える可能性があります。健康のためにも、ぜひ禁煙を目指しましょう。

糖尿病など他の持病がある方は、その病気の状態をしっかり管理することも感染症予防には不可欠です。

普段と違うな?と思ったら、早めに医療機関に相談してください。熱がなくても、だるさや食欲不振など、いつもと違うサインを見逃さないことが大切です。



高齢者のリウマチ治療では、単にリウマチの炎症を抑えるだけでなく、全身の状態や生活背景全体を考慮することが重要です。専門医や医療機関は、次の点を考慮して診療にあたっています。

痛みや腫れの原因がリウマチの炎症だけではないこともあります。多病併存や、加齢に伴う体の変化、社会的な状況なども含めて、丁寧に診察を行い、病態を評価します。

合併症や副作用のリスクを考慮しながら、最小限の効果的なお薬を選択します。特に、ステロイド(グルココルチコイド)は、可能な限り少量にしたり、最終的には中止(GCフリー)を目指すことが、長期的な健康維持のために非常に大切だと考えられています。これは、ステロイドが様々な副作用を引き起こし、長期使用が高齢患者さんの入院原因ともなりうるためです。

一人ひとりの生活スタイルや価値観に合わせて、治療法や注意点について一緒に話し合いながら決めていきます(シェアード・デシジョン・メイキング)。ご家族のサポートも大切です。



人生100年時代、リウマチと診断されても、あるいは長年リウマチと付き合っていても、諦める必要はありません。高齢になっても、適切な治療と、少しの注意を払うことで、活動的な生活を送ることは十分に可能です。

薬のこと、体のこと、生活習慣のこと…気になることがあれば、どんな些細なことでも構いません。どうぞお気軽にご相談ください。

地域の皆さんのかかりつけ医として、そしてリウマチの専門家として、皆さんが笑顔で、活動的に毎日を過ごせるよう、全力でサポートいたします。

これからも、一緒に頑張りましょう!

毎週火曜日午後、第1内科は順天堂御茶ノ水病院で外来をやっている先生が診療に当たっています。

優しくて丁寧すぎる診察を受けたい方は是非受診してください。

一覧へ