「高血圧の基準が160になった?」というウワサについて
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こんにちは、上田診療所の院長の上田です。
最近、患者さんから
「高血圧の基準が160/100に変わったって本当ですか?」
と聞かれることが増えてきました。
たしかに、ニュースやSNSなどでそんな話題を目にした方も多いかもしれません。でも、これは誤解です。
◆ 高血圧の「診断基準」は変わっていません
現在も、高血圧の診断基準は収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上です。
これは「高血圧治療ガイドライン2019(日本高血圧学会)」で示されているもので、変更はされていません。
◆ 160/100は何の数字?
この「160/100」という数値は、**高血圧の“診断基準”ではなく、“受診を勧める目安”**として使われているものです。
令和6年度から始まった「特定健診(いわゆるメタボ健診)」の制度において、
治療が必要とされながらも病院を受診していない方に対して、
健診機関(協会けんぽなど)が
「すぐに病院を受診してください」と強く促すための基準が「160/100」なのです。
つまりこれは、**治療が行われていない高血圧の方への“注意喚起のライン”**であり、一般的な高血圧の基準が変わったわけではありません。
◆ 日本高血圧学会の見解も変わっていません
日本高血圧学会も、以下のように説明しています。
・160/100以上の方は →「すぐに医療機関を受診してください」
・140~160/90~100の方は →「生活習慣を見直しても改善しないなら受診してください」
特に後者の方は、放っておくと脳卒中や心臓病のリスクが3倍以上になることがわかっています。
日々の生活習慣(減塩・運動・体重管理など)がとても大切です。
◆ なぜ「160/100」だけが目立ったの?
おそらく、今回の混乱は「特定健診での受診勧奨基準」として使われている160/100という数字だけが一人歩きしてしまったことに原因があります。
実際には、診断基準が変わったわけではありませんし、協会けんぽの基準も何も変更されていません。
また、この「160/100」という数字は、
治療を受けていない方への“公衆衛生上の通知”として、例外的な判断に基づくものです。
結論:高血圧の基準は140/90以上。変わっていません!
「基準が160に変わった」というのは誤解です。
もし血圧が140/90を超えていたら、生活習慣の見直しを。そして数値が下がらなければ、早めの受診をおすすめします。
気になることがあれば、いつでもご相談くださいね。
当院では、丁寧に血圧管理のサポートをしています。
※参考: