『炭水化物』 『糖』 何が違うの?
- 糖尿病

健康診断の結果を見て、「炭水化物の摂取を控えめに」と言われたことはありませんか?
あるいは、「食物繊維をもっと摂りましょう」とアドバイスされた方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、私たちが普段何気なく口にしている炭水化物について、その中でも特に重要な糖質と食物繊維に焦点を当てて、分かりやすく解説していきます。
炭水化物ってどんなもの?
炭水化物とは、簡単に言うと、私たちの体にとって大切なエネルギー源となる栄養素の一つです。
炭水化物は、単糖という小さな単位が一つ、あるいはたくさん繋がってできています。
炭水化物は二つのグループに分けられる!
実は、炭水化物には、私たちの体で消化・吸収されてエネルギーになる糖質と、ほとんど消化されずエネルギーにならない食物繊維の2つのグループがあります。
● 炭水化物 = (糖質)+(食物繊維)
と書くとわかりやすいです。
エネルギーになる!「糖質」とは?
糖質は、体内で消化・吸収され、1gあたり4kcalのエネルギーを生み出します。私たちの脳や筋肉など、さまざまな臓器がこのエネルギーを利用して活動しています。
糖質には、さらにいくつかの種類があります:
●単糖類:
これ以上分解できない最小単位の糖で、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースなどがあります。
●二糖類:
単糖が2つ繋がったもので、ショ糖(砂糖)、ラクトース(乳糖)、マルトース(麦芽糖)などがあります。
●糖アルコール:
甘味を持つアルコールで、ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどがあります。
●多糖類:
単糖がたくさん繋がったもので、でんぷん、デキストリン、オリゴ糖(マルトデキストリンなど)などがあります。
ただし、
糖質の中でも《果糖(フルクトース)》、《ショ糖(砂糖)》は
高脂血症を悪化させることが知られています。特に高TG血症の方は、摂取量に注意が必要です。
(TG:中性脂肪)
お腹の調子を整える!「食物繊維」とは?
一方、食物繊維は、ヒトの消化酵素ではほとんど消化されず、エネルギーにはなりにくい炭水化物です。しかし、私たちの健康を維持するために、とても重要な働きをしてくれます。
食物繊維は、その性質によって水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つに大きく分けられます:
●水溶性食物繊維:
水に溶ける性質を持ち、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸などがあります。小腸での栄養素の吸収を緩やかにすることで、食後血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを吸着して体外への排出を促し、血中コレステロール値を低下させる働きがあります。
●不溶性食物繊維:
水に溶けない性質を持ち、セルロース、ヘミセルロース、キチンなどがあります1。水分を吸収して便の量を増やし、大腸を刺激して排便を促す働きがあります。
目標摂取量を知っておこう!
食物繊維の摂取は、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクの低下など、多くの病気と関係していることが報告されています。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、食物繊維の目標量は、個人の体重に基づいて計算されますが、例えば、ある基準体重の方の場合、おおよその目安量が示されています。また、動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、1日あたり25gの食物繊維摂取が目標値として設定されています。
まとめ
炭水化物は、私たちの体に必要なエネルギー源となる糖質と、お腹の調子を整える食物繊維という、それぞれ異なる重要な役割を持つ仲間たちです。バランスの取れた食事を心がけ、糖質の摂り過ぎに注意しながら、積極的に食物繊維を摂取していくことが、健康維持のために大切です。
今回の情報が、皆さんの食生活を見直すきっかけになれば幸いです。何かご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。