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GI値って何?食後血糖を味方につける食事のヒント

皆様、こんにちは。上田診療所 院長の上田です。

日々の診察の中で、患者さんから「どんな食事をしたら良いですか?」というご質問をよくいただきます。特に糖尿病の予防や管理においては、食事が非常に大切な役割を果たします。そこで今回は、食事を選ぶ上で知っておくと役に立つ「GI値」について、分かりやすくお話ししたいと思います。

このGI値を知ることで、いつもの食事でも血糖値の急激な変動を抑え、健康維持に繋げることができますよ。ぜひ最後までお読みください。



まず、「GI値」とは一体何でしょうか?

GI値は「Glycemic Index(グリセミックインデックス)」の略で、食品が食後の血糖値にどのくらい影響を与えるかを数値で示したものです。

食品に含まれる糖質が、体の中でどのくらいの速さでブドウ糖に変わり、血液中に吸収されるか、そのスピードと程度を数値化した指標 と言えます。

ブドウ糖50gを摂取した後の血糖値の上昇度合いを基準(GI値100)として比較されますが、日本では包装米飯(白米ごはん)を基準とする場合もあります。

食品はGI値によって、血糖値を急激に上昇させる「高GI食品(GIが70以上)」、血糖値の上昇が中程度の「中GI食品(GIが56~69)」、血糖値の上昇が緩やかな「低GI食品(GIが55以下)」に分けられます。



私たちが食事をすると、食べ物に含まれる糖質はブドウ糖として血液中に入り、血糖値が上がります。健康な体では、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌され、このブドウ糖を体の様々な細胞に運び、血糖値を適切な範囲に保ちます。

ところが、何らかの原因で食後数時間経っても血糖値が下がりにくい状態が続くと、それが糖尿病となります。糖尿病の予防や管理には、食後の血糖値を急激に上げないような食事が大切だと言われています。

高GI食品を食べると、糖質の吸収が早く、血糖値が急激に上昇します。すると、膵臓は血糖値を下げようと大量のインスリンを分泌します。急激に分泌されたインスリンによって血糖値が今度は急降下し、空腹感や疲労感、集中力の低下などを引き起こすことがあります。

このような血糖値の急激な変動が頻繁に起こると、膵臓のインスリンを出す細胞が疲弊したり、インスリンの働きが悪くなったりする原因となり、血糖値が高い状態が慢性化しやすくなります。これが続くと、糖尿病になるリスクが高まると考えられています。

一方、低GI食品は消化吸収がゆっくりで、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。これにより、血糖値が安定しやすくなり、インスリンの分泌量も安定するため、糖尿病のリスクを軽減することが期待できるのです。WHOからも、低GI食品が過体重、肥満、2型糖尿病の発症リスクを低減させる可能性が報告されています。



健康を気遣うなら、できるだけ低GIの食品を選ぶのがおすすめです。

具体的な食品の例を見てみましょう:

<高GI食品(70以上)>
白パン、白米、スナック菓子、ジャム、じゃがいも、サトイモ、ニンジン、練乳など

<中GI食品(56-69)>
オートミール、ライ麦パン、パイナップル、柿、さつまいも、アイスクリームなど

<低GI食品(55以下)>
全粒粉パン、そば、りんご、いちご、葉物野菜、きのこ類、豆類、牛乳、バター、肉類、魚介類など

「肉や魚はGI値が高いのでは?」と思われがちですが、実は低GI食品です。また、「低GI=低カロリー」と思っている方もいますが、カロリーとGI値は無関係です。

低GI食品を選ぶポイントとしては:

•デンプン質が少ないもの

•食物繊維が豊富なもの

•穀物は精製されていない茶色のもの

これらを参考にしてみてください。



「好きな高GI食品は我慢しないといけないの?」と思うかもしれませんが、心配ありません。食事は楽しむことも大切です。高GI食品を食べる時でも、工夫次第で血糖値の急激な上昇を抑えることができます。

いくつかコツをご紹介します:

<一度に大量の炭水化物を摂らない>
高GI食品に限らず、炭水化物の量を摂り過ぎると血糖値が急上昇しやすくなります。適量を心がけましょう。

<食物繊維が豊富な食品を一緒に摂る>
野菜、きのこ類、海藻類、豆類などには食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は糖質の消化吸収を緩やかにしてくれるため、血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。食事の最初に野菜などを食べる「ベジタブルファースト」も有効です。

<よく噛んで食べる>
よく噛むことで消化吸収がゆっくりになり、血糖値の上昇が穏やかになります。また、満腹感も得られやすくなり、炭水化物の摂り過ぎを防ぐ効果も期待できます。

<酸味のある食品を取り入れる>
酢やレモン汁などの酸味は、血糖値の上昇を緩やかにする可能性があります。サラダにレモン汁をかけたり、酢の物(海藻入りは食物繊維も豊富でおすすめ)を食べたりするのも良い方法です。

<食後に軽い運動をする>
食後、特に血糖値が上がり始めるタイミングで散歩などの軽い運動をすることで、ブドウ糖が筋肉に取り込まれやすくなり、血糖値の上昇を抑える助けになります。食べ過ぎたなと感じた時に試してみるのも良いでしょう。

日本食では白米のGI値が高いという課題がありますが、米飯と副食の組み合わせ方(例えば、納豆やとろろ芋など粘性のある食品との組み合わせ)によっても食事全体のGI値を調整できる可能性が研究されています。



GI値は、食品が血糖値に与える影響を知る上で非常に便利な指標です。全ての食事を低GIにするのは難しくても、ご紹介したような選び方や食べ方の工夫を取り入れることで、食後の血糖値の安定に繋がり、糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防・管理に役立ちます。

当クリニックでは、患者さん一人ひとりに合った食事や運動のアドバイスを行っております。食事についてもっと詳しく知りたい、具体的な食品の選び方について相談したい、など疑問がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。皆様の健康をサポートするため、いつでもお待ちしております。

次回のブログでは、別の健康情報についてお話しする予定です。お楽しみに!

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参考文献 1… Excerpts from “GI値とは?食品のGI値や体に与える影響をわかりやすく解説|北海道科学大学” 3… Excerpts from “グリセミックインデックス その概念と臨床用用への期待.pdf” 4… Excerpts from “食事のグリセミックインデックスと生活習慣病一次予防 日本調理学会誌 2011年

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