肥満症の新しい治療法?注目の「痩せるお薬」について分かりやすく解説!
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「ダイエット、頑張っているんだけど、なかなか体重が落ちなくて…」「健康診断で肥満を指摘されたけど、どうすればいいの?」
そうお悩みの方、実は少なくないのではないでしょうか。肥満は見た目の問題だけでなく、放っておくとさまざまな病気につながる可能性もあるんです。だからこそ、適切な治療が必要になる場合があります。
これまでの肥満治療というと、「とにかく食事と運動!」というイメージが強かったかもしれません。もちろん、それは今も変わらない基本中の基本です。
でも、食事や運動を頑張っても、なかなか効果が出ない…という方もいらっしゃいますよね。
そんな時に、医療の力でサポートするという選択肢があるのをご存知ですか?
実は最近、日本でも「肥満症のお薬」として、保険が使える新しいお薬が登場したんです。
今回は、このお薬について、そして肥満症の薬物療法について、少し掘り下げてお話ししたいと思います。
ステップ1:そもそも「肥満症」って?ダイエットとの違いは?
「太っている」ことと「肥満症」は、実は少し違います。
一般的に、BMI(体重と身長から計算する肥満度)が25を超えると「肥満」とされます。
その中でも、肥満が原因で体の具合が悪くなったり(高血圧や糖尿病など)、将来病気になりやすそうな状態を「肥満症」と呼ぶんです。
肥満症は、健康に悪影響を及ぼす可能性があるので、きちんと治療して体重を減らしたり、キープしたりすることが大切なんです。
治療の基本は、何と言ってもバランスの取れた食事と、適度な運動です。
これを毎日コツコツ続けるのが、一番の近道であり、健康的な体を作る基礎になります。
ステップ2:食事や運動だけじゃ難しい…そんな時に「お薬」という選択肢
「食事にも気をつけて、ウォーキングも頑張ってるのに、どうして体重が減らないんだろう…」
そんな風に悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。特に高度な肥満があったり、肥満が原因の病気(高血圧、脂質異常症、2型糖尿病など)がある場合、食事や運動だけでは目標達成が難しいことがあります。
薬物療法は、まさに「食事療法や運動療法を半年以上しっかりやっても、残念ながら十分な効果が見られない」場合に検討される治療法なんです。
「薬で痩せるなんて、なんか怖い…」と思われるかもしれませんが、お薬は魔法のダイエット薬ではなく、あくまで食事療法や運動療法を「補助」するためのものです。
お薬の力を借りながら、生活習慣の改善をさらに進めていくイメージですね。
ステップ3:日本で初めて!保険適用の肥満症治療薬「ウゴービ」が登場!
これまで、日本では「肥満症そのもの」に対して保険が使えるお薬はありませんでした。
でも、2023年3月に「ウゴービ」という新しいお薬が、「肥満症」の治療薬として国に承認されたんです。そして、2024年2月22日からは、ついに保険が使えるようになりました。

これは、日本で初めて「肥満症の治療薬として保険適用されるお薬」の誕生なんです!
ステップ4:「ウゴービ」ってどんなお薬?誰が使えるの?
ウゴービは、GLP-1受容体作動薬という種類のお薬です。
最近、健康やダイエットに関心がある方の間で耳にすることが増えた名前かもしれませんね。
このお薬は、体の中にもともとある「GLP-1」という物質と似た働きをします。
GLP-1は、食事をすると分泌されて、脳に作用して「もうお腹いっぱいかな?」「あまりお腹が空いてないな」と感じさせて食欲を抑えたり、胃の動きをゆっくりさせて、食べ物が長くお腹にとどまるようにしたりします。その結果、食べる量が自然と減り、体重減少につながるというわけです。
ウゴービは、週に1回、自分で体に注射して使うお薬です。
ただし、誰でも使えるわけではありません!ウゴービを使えるのは、国が定めた厳しい基準(最適使用推進ガイドライン)を満たした患者さんだけです。
具体的には
•まず、
「肥満症」と診断された大人の方であること。
•さらに、
高血圧、脂質異常症、または2型糖尿病のどれか一つがあること。
•そして、
BMIが35以上の方、またはBMIが27以上で、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のどれか二つ以上がある方。
•加えて、
もう一つ別の肥満に関連する健康問題があること。
•そして、
これらの条件を満たした上で、高血圧、脂質異常症、または2型糖尿病で治療を受けているのに、なかなか良くならない方が対象になります。
•さらに、
お薬を始める半年前から、しっかりと食事療法と運動療法に取り組んでいることも条件です。
投与期間は、原則として最長68週間(約1年4ヶ月)と決められています。
ステップ5:ウゴービの効果は?気を付けることは?
国内の臨床試験では、食事・運動療法に加えてウゴービを使ったグループは、使わなかったグループに比べて、平均で約13%も体重が減ったという報告があります。
海外の試験でも効果は確認されているそうです。
一方で、お薬なので副作用の可能性もあります。一番よく見られるのは、吐き気や下痢、便秘といった胃腸の不調です。
また、まれにですが、膵臓や胆嚢に関する重い副作用が起こることもゼロではありません。
だからこそ、ウゴービを使う場合は、必ず医師の診察を受けて、適応があるか確認してもらい、医師の指示通りに正しく使うことが絶対に大切です。自己判断で使用することは、絶対に避けてくださいね。
注意点
- ウゴービは「肥満症」の治療薬として承認されていますが、同じ「GLP-1受容体作動薬」でも、オゼンピックやリベルサスといった薬剤は、今のところ「2型糖尿病」の治療薬としては承認されていますが、「肥満症」の治療薬としては承認されていません。
- 混同しないよう注意が必要です。
- 注射薬であること、いくつか注意すべき副作用があること、費用がかかることなど、開始する前に医師とよく相談することが大切です


ステップ6:これから、肥満症治療はどうなるの?
ウゴービの登場は大きな一歩ですが、実はこれ以外にも、様々な新しい肥満症のお薬が今、世界中で開発されています。注射だけでなく、飲むタイプのお薬も研究されているようです。
将来的には、もっとたくさんの選択肢の中から、一人ひとりに合った治療法を選べるようになるかもしれませんね。
肥満症の治療は、単に体重を減らすだけでなく、その人の生活スタイルや体の状態など、たくさんのことを総合的に考えて進めることが大切です。
ウゴービのような新しい選択肢も登場した今、医療機関で専門的なサポートを受けながら、健康的に肥満症を改善していく道が開かれています。