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食後の高血糖を抑える簡単な方法

2型糖尿病の食後の高血糖を抑え込むことができれば、糖尿病のコントロールは極めて良好になります。
食事の内容、摂るタイミング、食事の回数、などに関して様々なことが言われています。
今回は出来るだけ分かりやすく考えていきたいと思います。

「朝食抜きが厳禁!」


「朝抜き、昼そば、夜ドカ食い」という食事のパターンを繰り返している方はもう少なくなってきていると思います。昭和から平成にかけてはこのような食事を摂るパターンの方が多かったのは事実です。

ネットでの情報が入りやすくなった現在、朝食を食べないことがよろしくない事が広く伝わっています。今回はどうして朝食抜きが悪いのかを検証してみしょう。

食事の回数を減らすと膵臓のインスリン分泌の負担を増やし、膵臓が疲れてしまい糖尿病の発症につながります。

血糖値の乱高下を防ぐ


では、食事の回数とインスリンの分泌状態がどのように関連しているかを考えてみましょう。
食事を摂ると血糖が上がります。その血糖を筋肉や肝臓に運び込みエネルギーとして使えるようにしてくれるのがインスリンです。このインスリンが上手く作用しないと、血液中に糖が余ります。その結果血糖が上昇して糖尿病になる事はご存知を思います。

1日の摂取カロリー(1日の総摂取エネルギー)を同じにして、朝食を抜くとどうなるでしょうか?
血糖値もインスリン値も昼食後にグンと上がり、夕食後も同様に上がります。血糖値の乱高下が起こってしまうわけです。

朝、昼、の食事を抜いて1日1食とした場合は更にその傾向が強くなり、乱高下の幅が大きくなります。

インスリンを有効に使う


糖尿病の方の食後の血糖を下げるには、インスリンを有効に使う工夫が必要です。

食事の回数を減らすほど、食後のインスリンの急激な上昇が起こります。一日に摂るエネルギーが同じでも食事の摂り方次第でインスリンの分泌量が大きく変わってしまうのです。
また、インスリンが必要以上に分泌され、余ったインスリンは糖分を脂肪として蓄積させます。それが肥満の原因ともなっています。

朝食を抜くと、血糖値が高くなる


朝食を抜くと昼食後のインスリン分泌が、朝食を摂った時よりも遅くなることが分かっています。
朝食を摂ることで、昼食後のインスリン分泌が素早くなり、血糖値の急激な上昇を抑え込むことが出来るのです。ですので、朝食は少しでも良いので摂った方がインスリンを有効に使うことが出来ます。
朝食を摂ることで膵臓のウォームアップをするイメージです。

食事を摂ると食後に分泌されるインスリンが脂肪細胞に働き脂肪の分解を抑制します。
その結果、遊離脂肪酸は低く抑えられます。一方で朝食を抜くとこの遊離脂肪酸が高いままの状態になり、脂肪代謝が悪くなりインスリンの効きが良くなくなります。すなわち食後の高血糖が持続するということになるのです。

夕食を摂る時間をなるべく早くする


夕食を遅く摂ると、血糖の上昇が強くなります。これは朝食や昼食に比べると、夕食後の方が身体の熱産生が少ないことによるものです。呼吸、消化などによるエネルギー消費の関係です。
これを防ぐには早めの夕食がお薦めです。夕食が終わってから就寝まで3時間は空けるのが理想と言われています。しかし、仕事の関係で帰宅が遅くなり夕食は早い時間に摂れないという方も居られると思います。

早めに炭水化物を摂る


夕食を分食することにより、血糖の上昇を抑え込めることが分かっています。
具体的には18時ころにおにぎりなどの炭水化物、野菜などを摂り、帰宅後に副菜(メインディッシュ)を摂ることがお薦めです。このようにすることで同じカロリーを摂っても血糖の上昇の幅を小さくすることができます。帰宅が遅くなる日は、18時ころ仕事を抜け出しコンビニで野菜のパックとおにぎりを購入して早めに食べることができれば最高です。もちろん、帰宅後に炭水化物をもう一度食べるのは厳禁ですが。帰宅後もできれば食物繊維が多く含まれているもの(根菜、きのこ、海藻などの水溶性食物繊維)を摂る事を忘れずにできればと思います。

食事の内容の順番で血糖上昇を抑え込む


食事内容の食べる順番を変えるだけで血糖上昇を抑え込むことができます。これは簡単なことなのでやらないともったいない方法です。
①野菜②主食、の順番で食べた場合は、①主食②野菜の順番で食べる場合よりも食後の血糖の上昇が抑え込まれます。また、インスリンの分泌も抑え込むことができるので、インスリンの節約になります。

野菜を先に食べると水溶性食物繊維が糖の吸収を遅らせるために食後の血糖の上昇を抑え込めます。
また、野菜を先に食べて満腹感を感じると余計な副菜を食べなくなるという副次的な効果も望めます。

空腹時に炭水化物を摂ると、血糖とインスリンは急激に上昇します。これにより、インスリンが脂肪細胞にエネルギーを注入して肥満を引き起こす原因ともなります。

まとめ


「三食摂る、特に朝食を抜かない」
「夕食を早めに摂る、あるいは夕方に炭水化物、帰宅後にメインディッシュ」
「野菜を先に食べて、炭水化物は最後にする」

以上、簡単なことで、食後の血糖の上昇を抑え込むことができるので実践してみてください。

血糖コントロールが良くなれば薬の量も減り、医療費も安く済ませることが出来ます。お財布に優しいい食事の摂り方を是非工夫をしてみて下さい。

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