残暑の魚食中毒
- その他
魚のアレルギーというと、サバアレルギーが良く知られていまが、
元来アレルギーを持っていない人でも魚を食した後で吐気や発疹が出る場合があります。
今回の話はアレルギーとは違う種類の話です。
残暑が厳しい時期に起こる食中毒です。
ヒスタミン魚中毒 (histamine fish poisoning:HFP)
保存状態の悪い魚などを食べて1~2時間以内に頭痛や顔面紅潮、皮疹、腹痛、下痢等が起こります。
保存状態が悪いとは
魚を冷蔵庫に保存しないで室温(20度以上)で2時間以上放置したような状態です。
食材の中にあるヒスチジンが細菌によってヒスタミンとなりアレルギー様の症状をおこします。
ヒスチジンは魚以外にもチーズやハム、ソーセージなどの加工肉、アルコールなどにも含まれるので覚えておくと良いかもしれません。
これら食材は20度以上であれば2時間以内でもリスクとなり得ます。
26℃では12時間程度でヒスタミンは中毒濃度に達します。
ヒスチジンとは
ヒスチジンは、必須アミノ酸の一つで重要な栄養素です。
骨や脳の機能に必要なミネラルです。
成長に関する働きや神経機能補助の役割があります。
子供の時は体内で合成されないのですが、大人になる合成できるようになります。
必須アミノ酸の中で唯一、体の中で合成ができるという特徴があります。
ヒスチジンが多く含まれる食材
マグロ・カツオ・サバ・アジなどの赤身魚やそれらの加工品に多く含まれています。
・魚類(カツオ、マグロ、ブリ、サバ、サンマ、イワシ)
・肉類(子牛肉、鶏肉、豚肉、ハムなどの加工肉)
・乳製品(チェダーチーズ、プロセスチーズ、ドライミルク)
・大豆製品(大豆、きな粉、納豆)
症状
摂取後10分~1時間前後で
・悪心・嘔吐
・下痢
・心窩部痛・皮膚の紅潮・発赤・発疹・蕁麻疹
数時間~24時間持続
重症になると
・気管支痙攣・不整脈・血圧低下 が見られます。
死亡例は全世界的に稀です。
「魚アレルギー」と「ヒスタミン魚中毒」とは何がちがう?
「魚アレルギー」と「ヒスタミン魚中毒」とは異なる現象ですが、症状が似ているために区別がつきにくいです。
「魚アレルギー」 | 「ヒスタミン魚食中毒」 |
魚のタンパクに対する免疫反応 | 鮮度の落ちた魚に含まれる大量のヒスタミンの摂取 |
2時間以内に症状が現れる | 2時間以内に症状が出ることが多い |
アレルギー体質の人に限定 | 誰にでも起こる可能性がある |
同じ種類の魚を食べると毎回症状が出る傾向がある | 同じ魚を食べても毎回症状がでるとは限らない |
症状は殆ど同じなので区別は難しいです。
・同じ魚を問題なく食べていたのに、突然症状が出た ⇒ ヒスタミン魚食中毒
・同じ魚を食べて毎回症状が出る ⇒ アレルギー
・医療機関でアレルギー検査が陰性 ⇒ ヒスタミン魚食中毒
を考えます。
まとめ
物価高の影響もあり、食材を一気に買い込むことが多くなるかもしれません。
ハム・ソーセージ等の加工肉は加熱処理をしているので安全と思われるかもしれませんが、原因となり得ることを覚えておいてください。
ヒスタミンは耐熱性があるため熱処理しても除去することができません。
一度生成されると食中毒を防ぐことができないので、食材の温度管理はしっかりする必要があります。
必ず冷蔵をするようにしてください。