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知っておきたいワクチンのこと💉リウマチや膠原病をお持ちのあなたへ。感染症から体を守る!

皆さん、こんにちは!上田診療所院長の上田です。

梅雨入りが近づき、体調を崩しやすい時期ですが、いかがお過ごしでしょうか?

最近、リウマチや膠原病の治療は本当に目覚ましい進歩を遂げていますね。新しいお薬もたくさん登場し、以前では考えられなかったくらい、多くの患者さんが活動性の低い状態で安定した日常生活を送れるようになっています。これは本当に素晴らしいことです!✨

でも、その一方で、治療薬の種類によっては免疫の働きを少し抑えるものもありますよね。そうすると、どうしても感染症にかかりやすくなってしまうことがあります。だからこそ、

リウマチや膠原病の患者さんにとって、感染症をしっかり予防すること、これが治療と同じくらい、いやそれ以上に、いつの時代もとても大切な課題なんです。

感染症予防には、手洗いやうがい、人混みを避けるといった日々の対策はもちろんですが、

実は「予防接種(ワクチン)」も非常に強力な味方になってくれます。

「ワクチンって子供が受けるものじゃないの?」「免疫抑制剤を使ってるから受けられないんじゃないの?」

そんな疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。

でもご安心ください!今日は、皆さんが安心して毎日を過ごせるように、リウマチや膠原病をお持ちの方にぜひ知っていただきたい「予防接種」について、分かりやすくお話ししたいと思います。

少し専門的なお話になりますが、大切なポイントをギュッと絞ってお伝えします。



予防接種とは、病気に対する免疫を体につけるために、ワクチンを体内に接種することです。ワクチンはそのための「お薬」ですね。

その最大の目的は、もちろん**「自分がその病気にかからないようにする」**ことです!

でも、それだけではありません。自分がワクチンを受けて病気にかかりにくくなることで、**「身の回りの大切な人(ご家族、パートナー、お子さんなど)に病気をうつさないようにする」**という効果もあります。

さらに! ワクチンを打つ人が増えると、社会全体で病気が流行しにくくなります。

これを「集団免疫」と言います。たくさんの人が免疫を持つことで、ワクチンを打てない体質の方や、小さなお子さんなども病気にかかりにくくなるんです。

予防接種は、まさに自分も、周りの人も、そして社会全体も守る、とっても意義深い取り組みなんです。



リウマチや膠原病をお持ちの方は、免疫のバランスが崩れていたり、治療薬で免疫を調整していたりするため、いくつかの感染症にかかりやすく、また重症化しやすいことが知られています。

国内外の多くの専門家や学会(EULAR、ACR、日本のガイドラインなど)が、このような患者さんに対して特定のワクチンの接種を推奨しています。

特に重要なのは、以下のワクチンです。これらは**「不活化ワクチン」**と呼ばれる種類で、病原体の毒性をなくしたり、一部だけを使ったりしているため、免疫抑制剤を使っている方でも比較的安全に接種できると考えられています。

1. 肺炎球菌ワクチン💉

肺炎球菌は、肺炎や髄膜炎、菌血症(血液の中に菌が入ってしまう状態)などを起こす細菌です。

特に、高齢者や免疫が低下している方で重症化しやすいことが分かっています。肺炎は、日本の成人の肺炎の原因として最も多い細菌の一つです。

肺炎球菌ワクチンにはいくつか種類がありますが、リウマチ・膠原病の患者さんでは、不活化ワクチンなので免疫抑制下でも接種可能です。

ワクチンの種類や接種スケジュールは、これまでの接種歴や年齢、基礎疾患によって複雑に変わってきます。

大切なのは、ご自身の状況に合わせて、どのワクチンを、いつ接種するのが良いのか、主治医の先生としっかり相談することです

2. 帯状疱疹ワクチン💉

「帯状疱疹」は、水ぼうそうと同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)によって起こります。

子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが体の中に潜んでいて、免疫力が低下した時に再び活動を始め、神経に沿って強い痛みや発疹を引き起こします。

リウマチや膠原病の患者さんは、一般の方に比べて帯状疱疹にかかりやすいことが分かっています

特に、ステロイドを使っている方や、JAK阻害薬、生物学的製剤など、特定の免疫抑制剤を使っている方ではリスクが高くなることが報告されています。

帯状疱疹の怖いところは、痛みが長期間続いてしまう「帯状疱疹後神経痛(PHN)」を残すことがある点です。これが本当に辛いんです…。

帯状疱疹ワクチンには、昔からある「生ワクチン」と、2020年から使えるようになった新しい「不活化ワクチン(シングリックス®)」があります。

免疫抑制状態にある方には、高い予防効果が期待でき、かつ安全性の高い「不活化ワクチン」が推奨されています

この不活化ワクチンは、帯状疱疹の発症を約9割、帯状疱疹後神経痛も約9割予防できるという素晴らしいデータが出ています!

3. インフルエンザワクチン💉

インフルエンザは、毎年冬になると流行するウイルス感染症です。発熱や喉の痛み、関節痛など全身の症状が出やすく、肺炎などの合併症を引き起こすこともあります。

リウマチや膠原病の患者さんは、インフルエンザにかかると重症化し、入院が必要になるリスクが一般の方より高い可能性があります。

インフルエンザワクチンは、毎年流行するウイルス株に合わせて作られるため、毎年接種することが推奨されています

インフルエンザワクチンは、感染自体を完全に防ぐ効果は100%ではありませんが、

インフルエンザにかかった場合の重症化(特に肺炎や入院)を防ぐ効果が期待できます

これも不活化ワクチンなので、免疫抑制剤を使っていても接種可能です。

4. 新型コロナウイルスワクチン💉

記憶に新しいコロナウイルスのパンデミックは、私たちの生活を大きく変えましたね。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も、リウマチや膠原病の患者さんでは重症化リスクが高いことが明らかになっています。

コロナウイルスワクチンも、現在主に使われているものは不活化ワクチンに分類されます。

リウマチや膠原病をお持ちの方でも、ワクチンを接種することは、かかった場合の重症化を防ぐために非常に有効であり、国内外のガイドラインで強く推奨されています。

多くの免疫抑制剤は、ワクチン接種の際にも継続して問題ないと考えられています。

ワクチン接種によってリウマチなどの病気が悪化するのではないかと心配される方もいらっしゃいますが、これまでのデータでは、

ワクチン接種がリウマチ性疾患の活動性を高める可能性は低いことが示されています。



さて、色々なワクチンがあることがお分かりいただけたと思いますが、リウマチや膠原病をお持ちの方が予防接種を考える上で、一番、一番大切なことがあります。それは…

必ず、かかりつけのリウマチ専門医にご相談ください!

これに尽きます!「どのワクチンを打ちたいのか」、「なぜ打ちたいのか」、「これまでに同じワクチンを打ったことがあるか(接種歴)」、そして「今どのような治療を受けているのか」、「病気の勢いはどうか」といった情報を主治医の先生に伝えて、相談してください。

全てのワクチンがダメなわけではありませんし、逆に全てが良いわけでもありません。

使用しているお薬の種類(特にリツキシマブなど一部の薬剤では、ワクチンの効果を最大限に引き出すために接種時期を調整することが推奨される場合があります)や、病気の活動性(病気の勢いが強い時期よりも、落ち着いている時期の方がワクチンの効果が得られやすい場合があります)、体の状態によって、最適なワクチンや接種のタイミングは変わってきます。

また、一般的に「生ワクチン」と呼ばれる種類のワクチン(麻しん・風しん混合(MR)ワクチン、BCG、水痘(水ぼうそう)、おたふくかぜ、経口ポリオワクチンなど)は、免疫抑制状態の方には接種できない場合があります。

ご自身の状況でどのワクチンが安全に接種できるか、これも主治医が適切に判断します。

「相談なく自己判断で受けない」「不安なことは何でも聞く」、これがとても大切です!

ご家族も一緒に、感染症対策を考えましょう!

患者さんご自身だけでなく、一緒に生活するご家族の皆さんも、積極的にワクチンを受けていただくことが、患者さんを感染症から守る上で非常に効果的です

ご家族が感染症にかからなければ、患者さんにうつしてしまうリスクも減りますよね。

ぜひ、ご家族の皆さんもインフルエンザや新型コロナウイルスなど、定期的なワクチン接種を検討してみてください。

ただし、ご家族が「生ワクチン」を接種した場合、特に経口の生ワクチン(例:ロタウイルスワクチン)の場合、一時的に便などにウイルスが含まれることがあります。

そこから患者さんに感染する可能性もゼロではありません。

ご家族がどのようなワクチンを接種したか、またこれから接種する予定があるか、といった情報もぜひ共有していただけると、私たちも注意点をお伝えしやすいです。

「孫から風邪をもらったら肺炎になっちゃって…」といったお話を聞くこともあります。ご家族と一緒になって、ワクチンや感染対策を考えることは、患者さんにとって大きな安心につながります。



リウマチや膠原病の治療が進んだ今だからこそ、感染症予防はますます重要になっています。特にワクチンは、つらい病気にかかるリスクや、万が一かかっても重症化するリスクを大きく減らしてくれる、心強い味方です。

「難しそう…」「よく分からない…」と思わずに、まずは**「予防接種について知っといていただくといいかなと思いました」**という気持ちで、お気軽にご相談いただけると嬉しいです。

当クリニックでは、患者さん一人ひとりの病気の状態や受けている治療、生活スタイルに合わせて、最適な感染対策や予防接種のプランを一緒に考えさせていただきます。

気になるワクチンがある、過去に受けたことがあるか分からない、といった疑問や不安がありましたら、診察の際に遠慮なくお尋ねください。

あなたの健康で安心な毎日を、一緒に守っていきましょう!

毎週火曜日午後、第1内科は順天堂御茶ノ水病院で外来をやっている先生が診療に当たっています。

優しくて丁寧すぎる診察を受けたい方は是非受診してください。

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