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関節リウマチ診療ガイドライン (患者さんの声から)

関節リウマチ診療ガイドライン 2020

2020年の関節リウマチ診療ガイドラインが出ました。
その中にとても参考になる項目があります。
それは

患者さんの声をエビデンスとして反映させるためにアンケートを実施していることです。

リウマチ患者さんの価値観の評価・判断のアンケートです。
2014年のガイドラインの作成時にも同様の試みをしています。
今回は2014年と2020年の比較をしてみようと思います。

まず2014年版

リウマチ友の会2,222人の会員からアンケートを実施しています。
回収率は66.8%です。

アンケートの自由記載で要望の多かった項目は

主治医への要望

主治医にもっと話を聞いてい欲しい++++
検査値に頼りすぎる、患者の訴え軽視
主治医の患者への接し方を改善して。
主治医と治療法をもっと話し合いたい++。
心のケア、サポートがほしい++
触診して欲しい
薬の副作用++
検査値に頼り患者の訴えを軽視する+++
全身を総合的に診て欲しい+++
主治医と話し合いたい!

医療経済への要望

医療費が高い、安くしてほしい

治療方法に関しては

生物学的製剤: 使いたいが高い 効果がいつまで続くか不安、
        いつまで続けられるか不安、長期の副作用が心配
 MTX(メソトレキサート):できるだけ使いたくない 長期の副作用が心配
 ステロイド:できるだけ使いたくない 副作用が心配 
      副作用の説明が不十分 安易に使いたくない
 手術:受けたくないが、受けた人の満足度は高い 
   受けたことが無い人:抵抗感が強い
   受けた人:ADLの改善効果高い 再手術への不安 内科、整形、リハビリの連携希望

アンケートの他に専門医と患者さんの話し合いの場も持たれています。

  生物学的製剤:速やかに効果が期待できる。導入時に患者の理解を助ける手立てが必要
  MTX:従来のリウマチ薬よりも効果が実感できる。
   治療開始時の適応の見極め、副作用に関する患者への説明が重要
  ステロイド:悪いイメージがあるが、他の薬剤にはない重要な役割がある。
      副作用には十分な説明が必要。
  リウマチの共通の治療目標があるか?
  等の意見が出ていました。

さあ、2020年のガイドラインです。

1600名の友の会員を対象。71%の回収率。
前回から5年経過し平均年齢も5歳上昇しています。

全身状態を尋ねると

 1年前と変わらない:5割
 悪くなった:2割

薬物治療に対する患者の評価に関しては

生物学的製剤は圧倒的に評価が高く、次がMTX, JAK阻害薬 でした。

前回のアンケートでできるだけ使いたくない薬だった
 ステロイド と MTX に関しては
  ステロイド:効果があった(75%)、強い副作用があった(32%)
  MTX:効果があった(68%)、強い副作用があった(約27%)
でした。

投与を受けて良かった点が悪かった点を上回るか?

  ステロイド: 良い点が多い(38%)、悪い点が多い(13%)
  MTX:    良い点が多い(50%)、悪い点が多い(11%)
  生物学的製剤:良い点が多い(74%)、悪い点が多い(3.2%)
  JAK阻害薬 :良い点が多い(49%)、悪い点が多い(10%)
  抗RANKL抗体:良い点が多い(26%)、悪い点が多い(4%)

MTXでは5割が良い点の方が上回る、
生物学的製剤は74%が良い点の方が上回る、
という回答です。

外科的手術の感想も聞いています。

人工関節置換術
全ての関節(股、膝、肘、肩、足首)において50%以上が満足している結果でした。

満足度は
股関節:90%
膝関節:87%
肘関節:65%
肩関節:52%
足関節:60%

関節機能や筋力体力維持のために心がけていることも聞いています。

 食事に注意している:47%、
 ストレッチ運動をしている:43%
 ウォーキングしている:30%
 筋肉トレーニングをしている:18%
 水泳をしている:4.8%
 何もしていない:16% 
となっていて、ほとんどの人は何かをしています。

T2T(目標を定めた治療)の実践についても聞いています。

主治医と話し合ったことがあるか?:39%(前回42%)
と前回より悪化しています。

T2Tの満足度に関しては

主治医と話し合ったことがあるか?:39%(前回42%)
と前回より悪化しています。

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