リウマチの新しい診断基準
- リウマチ
リウマチの新しい診断基準について
アメリカとヨーロッパでリウマチの新しい診断基準が予備診断基準として発表されました。
関節リウマチの(RA)治療をとりまく環境はこの数年めまぐるしく進歩してきています。
痛みを抑えるだけが精一杯の時代が、骨の変形を抑えることが出来る時代になり、さらにリウマチの病気の活動性を抑え薬を止めることが出来る可能性の時代に変わってきています。
それに伴い、関節リウマチの診断基準も変わってきています。
20年前の診断基準はすでにリウマチが完全に出来上がってしまった状態を確認する、という意味合いのものでした。
新しく変わったポイント
今回診断基準が変わってきたのは、出来るだけ早くリウマチの方の治療を発見し治療を開始できるような環境を整えるためです。
今回の改訂の目玉は
(1)少なくとも1カ所の関節で滑膜炎(腫脹:診察あるいはMRI/超音波)の存在
(2)関節炎の原因として他疾患では説明ができない
を満たし、RAに典型的な骨びらん(RAに典型的な罹患関節および関節内の部位)を認めた場合、RAと診断(分類)できるようになりました。
順を追ってみてみましょう。
1、診察、MRI,超音波 で関節の腫脹が見られる場合はリウマチを疑います
次に
2、レントゲンでリウマチに特有の骨のびらん等が見られた場合は リウマチと診断します。
もしこれらの特徴が見られなければ、
3、関節の状態
リウマチ因子
罹患期間
血液の炎症反応
をそれぞれスコア化し、その点数が一定以上であればリウマチであると診断します。
いままでの診断基準にあった 「左右対称性」 については他の関節痛を起こす病気との区別に大きな有効性が無いために削除されています。
また「朝のこわばり」 に関しては、その持続時間が1時間未満のリウマチの方が多くあり、他の病気との区別に大きな差が無い為に削除されました。
とはいっても、この2つ(左右対称性、朝のこわばり)は診断上は重要な変化でありますので、充分に参考できる項目として認識しておくべきものです。
この予備診断基準は、欧州で検討された早期RA患者症例をもとにして作成されています。
日本リウマチ学会は早急に本予備診断基準が日本人において妥当であるかを検討する予定として、日本でも新しい診断基準が作成されるようです。