外来
平日
受付
9:00-12:30
13:30-17:15
診療
9:30-
14:00-
土曜
受付
9:00-12:30
診療
9:30-

プリン体の代謝

プリン体とはいったいどういうもの


化学構造としてプリン環を持っているものをひっくるめて全部をプリン体といいます。
遺伝子やATP(身体の中でエネルギーを作っている物質)を作っている非常に重要な物質です。

プリン体代謝経路
・プリン環を作る経路
・壊れたプリン体をサルベージする経路

の2つの経路があります。
このことによって必要なときにプリン体を作り出せるようになっています。

プリン体が多すぎるとプリン分解経路が働き、沢山作り過ぎたてサルベージが間に合わない時はプリン分解経路が働き、最終的にプリン体は尿酸になります。この結果が高尿酸血症です。

どんな時に尿酸が上がるか


食物の中にプリン体が入っているので、食べ過ぎた時に尿酸が沢山出来ます。

尿酸は腎臓と腸管の両方から排泄されます。この排泄される量が少なくなると身体の中の尿酸が増えることになります。(腎臓2/3、腸管1/3の割合です)

細胞が壊れるときも尿酸が壊れた細胞から出てきます。強力な化学療法などを行った際に起こります。

通常は沢山食べ過ぎた時のプリン体、お酒を飲んだ時にATPが代謝されて尿酸が作られ尿酸を上げます。

痛風、尿酸、プリン体の関係は?


プリン体は摂り過ぎると痛風のリスクが上がります。肉類や魚類、アルコールを沢山摂る事によっても痛風のリスクが上がります。

一方で肉類と魚類のプリン体の量はあまり変わりません。

アルコールの種類によっては変わってきます。ビールは一番プリン体が多いと言われいます。多いと言っても食品と比較すると随分少ないことが分かっています。ただ、ビールのプリン体は吸収されやすいために尿酸を上昇させてしまいます。プリン体カットビールが出てきています。これは尿酸値の上昇が1/3くらいになります。

プリン体の1日の摂取量はどれくらい?


1日の摂取量は400㎎前後が望ましいです。

具体的には普通の定食屋のごはんがおよそ180㎎前後のプリン体が入っています。
一般的に朝ごはんはこれより少ないことが多いです(納豆、みそ汁、ごはん、鮭の切り身)。

日本食で3食済ませると丁度良い感じです。

卵はプリン体が多い?


魚卵にプリン体が多く含まれるということを聞きますが、これは間違いです。
細胞1個1個にプリン体があるので、細胞が多ければプリン体が多くなる計算です。


いくらは粒々の1個が細胞ですので、プリン体は少なくなります。粒々が多いタラコなどはお肉と同じくらいのプリン体が含まれます。

鶏卵は卵が1個ですからプリン体は少ないことになります。

野菜類は多くなく、尿酸への影響は低いことが分かっています。

食品中のプリン体含有量

 300㎎以上 :きわめて多い
 200~300㎎ :多い
 50~100㎎ :少ない
 50㎎以下  :極めて少ない

食事の際に気を付けることをまとめると


プリン体の量など気にし始めると細かいところが沢山有りますが、

バランスの良い、片寄りのない食事を摂るという事が大切です。

プリン体は身体にとって大切なものです。ATP(身体の中でエネルギーを作っている物質)にとっては必要なものです。プリン体を避けすぎるもの良くないので注意をしましょう。

痛風は食物のプリン体に由来するものは20%前後



以前にもお話をしましたが、痛風は食物のプリン体に由来するものは20%前後です。

アルコール、肥満、激しい運動、ストレス、薬、などが原因のことが多いです。

アルコール



アルコール自体に、尿酸を増やしてしまうはたらきがあります。
飲酒量に比例して尿酸値は高くなります。
ビール以外も尿酸は高くるので要注意です。
ビール:500ml
焼酎(25度):90ml
日本酒:180ml
ワイン:180ml
ウィスキー、ブランデー(40度):60ml
が限度でしょう。

アルコール飲料中のプリン体含有量

肥満



内臓脂肪が増えると、肝臓で尿酸が多量に作られます。
腎臓から尿酸が排泄されにくくなり、尿酸値が上がります。
体重を3%減らすと、内臓脂肪が15%程度減ることが分かっています。

運動



短距離走やフルマラソン、ベンチプレスを使った激しい運動、筋肉トレーニングなど、いわゆる「無酸素運動」は良くないです。息が上がってぜいぜい言うような運動は良くないです。
ウォーキングや軽いジョギングなど、「有酸素運動」はお薦めです。
軽く汗ばむ程度に抑えると効果的です。

ストレス



ストレスが多いと尿酸が上がり、腎臓のはたらきにも影響して尿酸がうまく排泄されなくなります。



高血圧の治療薬として使われる利尿薬は、尿酸が尿から排泄されるのを妨げます。
アスピリン系の薬は、尿酸値を上昇させます。

終わりに


尿酸が増え過ぎると、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、腎臓病など命にかかわる病気になる場合があります。尿酸が血管の壁の中に入り込むと、免疫細胞が異物とみなして攻撃して血管の炎症の原因となるからです。

血清尿酸値が7.0mg/dLを超えていくと、5年以内に腎臓のはたらきが悪くなることが多いです。

腎臓に尿酸塊を作ると、腎臓の機能が低下し、場合によっては人工透析になってしまうこともあります。

痛風発作を起こした方、尿酸が9.0以上の方は内服治療を早めに開始することが望ましいです。

尿酸は6.0以下の維持することが肝要です。


一覧へ