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【皮膚科医が解説】  夏の肌トラブル徹底対策!汗と紫外線から肌を守る正しいスキンケア

夏の厳しい暑さや、強くなる日差しに、お肌の調子が気になる方も多いのではないでしょうか。汗や紫外線は、皮膚にとって大きな負担になることがあります。今回は、汗と紫外線からお肌を守るための大切なポイントについて、皆さんに分かりやすくお伝えしたいと思います。



皆さんは「スキンケア」というと、どんなことを思い浮かべますか? 化粧品のことかな、と思うかもしれませんね。

でも、実は、**皮膚は私たちの体で一番大きな「臓器」**なんです。

外界から体を守るために、とても細かく体の調子を整えてくれています。

だからこそ、皮膚のお手入れ、つまりスキンケアはとても大切なのです。



「これがいいと聞いたから、ずっと同じスキンケアを続けている」という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、皮膚の状態は、季節や気温、湿度、そして皆さんの年齢や体調によって常に変化しています。

暑い時期には、汗や紫外線への対策をしながら、その時期ならではのスキンケアの基礎をしっかり守ることが大事です。



暑い時期でも、スキンケアの基礎は変わりません。それは、**「洗う」「保湿」「紫外線ケア」**の3つです。季節によって、どこに重点を置くかが変わってきます。

1. 「洗う」こと

汗をかく季節は、肌が汚れやすいです。まずは、しっかり洗い流すことが大切。

汗による汚れは、低刺激性のものでは落ちきれないこともあります。季節に合った洗浄剤を、よく泡立てて、肌をこすりすぎないように優しく洗い、しっかりすすぎましょう。

外出先などで洗い流せない場合は、市販のウェットシートで汗を拭き取るのも良い方法です。

ただし、ウェットシートに含まれる成分(界面活性剤や香料、防腐剤など)で肌が反応してしまう方もいるので、成分をチェックして選ぶと安心です。

特に肌が弱い方は、汗をかいた後の乾燥がかゆみや肌荒れにつながることがあります。

汗をかいたら洗い流したり拭き取ったりして、その後に必ず保湿を心がけてください。

2. 「保湿」すること

「夏は肌がベタつくから、保湿剤はあまりつけたくないな」と思っている方もいるかもしれません。

しかし、夏でもエアコンや外気の状況によって、お肌はとても乾燥します。

どんな時期でも保湿は絶対に必要なケアです。

正しい保湿は、皮膚トラブルの治療にも匹敵するほど重要です。

また、しっかり保湿された肌は、次に塗る日焼け止めの効果を高めることもできます。

肌質によって使いやすい保湿剤は異なります。

乾燥肌の方にはクリームや乳液タイプ、オイリー肌の方には水溶性や泡、スプレータイプなどがおすすめです。

3. 「紫外線ケア」

紫外線ケアは、特に春から秋にかけて非常に大切になります。

紫外線には、波長によってUV-A、UV-B、UV-Cがありますが、日常生活で気をつけたいのはUV-AUV-Bです。

UV-Aは皮膚の奥まで届き、肌を黒くしたり、しわや老化の原因になります。

UV-Bは皮膚の表面を赤くして、「サンバーン」と呼ばれるやけどのような状態を引き起こします。

どちらも肌にダメージを与えるので、しっかりと対策しましょう。



紫外線対策には、いくつかの方法を組み合わせるのが効果的です。

日差しの強い時間帯を避ける

日焼け止めグッズを活用する。UVカット効果の高い衣類、つばの広い帽子(できれば7cm以上)、日傘、サングラス(瞳孔が開かない薄い色のレンズがおすすめ)などがあります。日傘は非常に効果が高いので、ぜひ活用しましょう。

日焼け止め(サンスクリーン)を使う



●日焼け止めの表示について
UV-Aは「PA」の「+」の数(数が多いほど効果が高い)、UV-Bは「SPF」という数字で示されます。これは効果の持続時間の目安です。
(SPF1あたり約20分)

ただし、数字が大きいからといって安心せず、使う場面に合わせて日焼け止めを使い分けることが、肌に負担をかけずにしっかり紫外線をカットするポイントです。

通勤程度なら低めのもの、アウトドアで長時間過ごすなら高めのもの、というように選びましょう。

肌が弱い方は、紫外線吸収剤が入っていない「ノンケミカルタイプ」と表示されたものを選ぶと良いでしょう。

日焼け止めを使うときには、以下の点に注意しましょう。

基本はクリームやローションなどの「塗る」タイプです。肌の表面に膜を作るように、しっかりと塗りましょう。保湿後に日焼け止めを塗り、さらにUV効果のある化粧下地やファンデーションを重ねると、効果を維持しやすくなります。
パウダーやスプレータイプは、塗り直しに使ったり、髪に使うのに便利です。

表示されている量をきちんと使うことが重要です。顔全体に塗る量の目安は、
クリームタイプなら指の第1関節分、ローションタイプなら1円玉2枚分です。
思っているより量が多いと感じるかもしれませんね。

肌表面をくまなく、ムラなく塗るように気をつけましょう。額、鼻、ほお、あごに分けて量を置き、手全体で広げて伸ばすと塗りやすいです。
白く残らないようにしっかり塗り込みましょう。

塗り残しやすい場所にも注意しましょう。特に耳の周りは最も気をつけたい場所です。男性は髪が短いことが多いので、女性よりも一層、耳や頭の紫外線対策が必要です。手に残った分を、耳や頭、首、手の甲などに塗り広げると良いでしょう。

紫外線予防は、「やりすぎはありません」

日焼け止めグッズと日焼け止めを重ねて、組み合わせて使うことで、より効果的に肌を守ることができます。



特に春先は、急に日差しが強くなる時期で、肌がまだ慣れていないため注意が必要です。

寒暖差が激しく空気が乾燥している初夏も、肌がダメージを受けやすくなります。

もしうっかり日焼けしてしまった場合は、その後のケアがとても大切です。

日焼けは、医学的には**「やけど」**として扱われます。日焼けの重症度は3段階に分けられます。

1段階目:軽度の日焼け(Ⅰ度熱傷)

  • 肌に赤みが出て熱をもち、ヒリヒリする状態です。
  • この場合は、まず流水や氷、保冷剤を使ってしっかりと冷やすことが一番大事です。
  • きれいに治すためには、自己判断せず皮膚科専門医に相談することをおすすめします。初期に副腎皮質ホルモン(ステロイド)を塗ると、炎症が早く引いてきれいに治りやすいです。

2段階目:中度の日焼け(Ⅱ度熱傷)

  • 水ぶくれができ、皮膚がめくれてくる。痛みが強い状態です。
  • 冷やしても痛みが引かない場合は、必ず皮膚科を受診しましょう。傷の状況に応じて、抗菌薬の塗り薬や副腎皮質ステロイドホルモンなどを使い分け、必要に応じて飲み薬なども使用します。日焼けくらい、と放置せずに、早めに適切な対処をしてください。
  • 少し時間が経ってからのケアとしては、水ぶくれができた場合は、軟膏を重ね塗りし、紫外線の影響を受けないように工夫します。外用薬や汚れを落とす際に、クリニックでは刺激の少ない「滅菌オリブ油」を処方して、肌を保護しながら洗浄剤を使うように指導しています。

3段階目:重度の日焼け

  • 広範囲に水ぶくれができたり、全身が赤くなってしまう状態です。
  • 広範囲の皮膚がやけどの状態になると、体温の調節が難しくなり、全身状態に影響が及ぶことがあります。特に小さなお子さんや高齢者は、脱水症にも注意が必要です。この段階になると、入院して点滴が必要になる場合もあります。このような場合は、速やかに医療機関を受診してください。

日焼けしてしまったら、その程度にかかわらず、速やかに適切なケアを行うことが大切です。

早期に適切に治療すれば、傷やしみになりにくくなります。



長期間、無防備に紫外線を浴び続けたり、強い日焼けを繰り返したりすると、しみやそばかす、しわが増えるだけでなく、皮膚がんにつながる可能性もあるので注意が必要です。

最近は、しみ取りのレーザー治療なども聞かれますが、これは一時的にメラニン色素を消すものであり、永久にシミができなくなるわけではありません。

治療後も、日々の保湿と遮光、そして自分に合ったスキンケアを続けることが非常に重要です。

また、気になるしみが病変ではないかどうかも重要ですので、心配な場合はまず皮膚科専門医にご相談ください。



18歳までに浴びる紫外線の量が、その後の皮膚の老化に影響するとも言われますが、どんな年齢になっても、気づいたときにスキンケアを始めることが大事です。

積極的に紫外線対策やスキンケアを行えば、必ず効果は現れ、同世代の方と比べてもきれいな肌を保つことができます。



Q. 制汗剤は肌トラブルにつながる?

汗をかく場所は刺激に弱い場所です。制汗剤の成分でかぶれてしまう方もいます。最近はより効果的な医療用の制汗剤もありますので、悩んでいる方は皮膚科にご相談ください。

Q. 汗をかくと首元がかゆくなるのは?

あせもか、金属アレルギーのどちらかの可能性があります。首全体が赤くなっている場合は汗の刺激(あせも)、アクセサリーがあたる場所だけかゆくて赤くなる場合は、汗で金属が溶け出したことによる金属アレルギー(接触アレルギー)が考えられます。 アクセサリーをつけていないのに金属アレルギーと診断された場合は、食品や歯科金属など、口から入った金属(アレルゲン)の一部が汗に溶け出してかぶれを起こす「全身型金属アレルギー」の可能性もあります。ニッケルアレルギーがある方が、海藻類や麦茶、きなこ、大豆などニッケルを多く含む食品に偏りすぎると、かゆみにつながることもあります。

Q. 汗をかく季節にアトピーが悪化する?

アトピーの方はうまく汗をかけないことが多いですが、**「汗を恐れないでほしい」**です。水分補給をしながら、お風呂にゆっくり浸かるなどして汗をかく練習をすると良いでしょう。ただし、汗が肌に残ると刺激になるので、汗をかいた後は、よく洗い流すか拭き取って、その後の保湿を忘れないことが大事です。 「よい汗をかく」ことも大切です。生活習慣病対策として、規則正しい食事、運動、睡眠といった生活習慣を見直すことで、皮膚に刺激が少ない汗をかけるようになると考えられます。



私たちの皮膚は、様々なサインを送ってくれています。自分の皮膚からのメッセージに耳を傾け、健康を見直すきっかけにしましょう。

そして、他人の真似ではなく、ご自身に合ったスキンケアを見つけることが何よりも大切です。

汗や紫外線による皮膚トラブル、日焼けしてしまった後のケアなど、ご心配なことがありましたら、自己判断せずに、いつでも当院にご相談ください。皆さんの肌の健康をサポートするために、丁寧な診察とアドバイスをさせていただきます。

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