【知っておきたい！】じんましんの真実と最新治療法
- 皮膚の話 皮膚科
【知っておきたい！】じんましんの真実と最新治療法
こんにちは！暑い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか？ 今回は、多くの方が悩まされているにもかかわらず、意外と知られていない「じんましん」について、最新の情報を交えながらお話ししたいと思います。
「じんましん」って、どんな病気？ もしかして、アレルギー？
「じんましん」と聞くと、「何か食べ物や薬が合わなくてアレルギーが出た！」と思われる方が本当に多いんです。実際、当院に来られる患者さんの多くが、アレルギー検査を希望されます。
でも、実はじんましんの原因がはっきりわかるのは、全体のわずか5%ほどしかないのが現実です。「え、そうなんですか！？」と驚かれる方もいるかもしれませんね。
じんましんの最大の特徴は、「出たり消えたり」を繰り返すことです。朝出ていたのに午後には消えている、夜中に急に出てきた、なんてこともよくあります。もし半日から1日でスーッと消えてしまうようであれば、それはじんましんの可能性が高いです。逆に、ずっと出っぱなしの場合は、じんましんではないと考えることが多いです。
また、発疹だけでなく、顔全体や唇、まぶたなどがぷっくり腫れることもあります。これは見た目が少し違うので「血管性浮腫（けっかんせいふしゅ）」と呼ばれますが、本質はじんましんと同じなんですよ。夜中に出やすいという特徴もありますし、日光に当たったり、暑さや寒さで症状が出る方もいらっしゃいます。もし症状が出たら、その場で写真を撮っておいていただけると、診察時にとても役立ちますよ。
じんましんには、症状がだいたい6週間以内に治まる「急性じんましん」と、それ以上続く「慢性じんましん」があります。特に慢性じんましんの場合、約7割は原因が特定できないと言われています。
「まさか、原因は自分の中に！？」～アレルギー検査は不要なことも～
先ほど「アレルギー検査は不要なことも多い」とお伝えしましたが、これは「食べ物などを疑って検査に来られても、陽性にならないことが多い」ためです。
実は、長く続く慢性じんましんの場合、体の外からのアレルゲンではなく、「自己免疫」といって、ご自身の体の中の何らかの成分に対するアレルギーであることが最近分かってきました。つまり、自分自身の体を攻撃してしまうアレルギーのような状態なんですね。
ある先生は、これを「敵は本能寺にあり」と表現されるほどです。外部に敵（アレルゲン）がいると思いきや、実は自分の中に原因があった、という意味合いですね。これは厄介なことではありますが、その分、治療法も進化しています。
だからこそ、じんましんが出たからといって、最初から高価なアレルギー検査をする必要はないと当院では考えています。まずは適切な診断と治療から始めることが大切です。
諦めないで！じんましんの治療は進化しています
「原因が分からないなら、治らないのでは…」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください！原因が特定できなくても、じんましんの症状を抑えるための治療法はたくさんあります。
治療の第一歩は、なんといっても「抗ヒスタミン薬」の内服（飲み薬）をきちんと飲むことです。これだけでかなり効果があるのですが、中には「2～3日で症状が出なくなったから」といって服用をやめてしまう方がいます。しかし、そうするとほとんどの場合で再発してしまいますので、症状が落ち着いたとしても、2週間から3ヶ月程度はきちんと飲み続けることが非常に重要です。
もし抗ヒスタミン薬だけでは症状が抑えられない場合でも、ご安心ください。当院では、以下のようなステップで、患者さんの状態に合わせた治療をご提案しています。
- 異なる種類の飲み薬の追加
- 自己免疫を抑える飲み薬（約2種類）
- 分子標的薬の注射（約2種類）
「注射薬」と聞くと少し身構える方もいらっしゃるかもしれませんが、これらは最新の治療薬であり、症状をかなり抑えることが期待できます。もちろん、これらのお薬は健康保険が適用されます。中には少し高価な薬もありますが、高額療養費制度などを活用できる場合もありますので、費用の面についてもご相談ください。例えば、3割負担で1回12,000円程度の注射薬もあります。
「原因はご自分の中にあったとしても、新しいお薬をお使いになると症状をかなり抑えることができるようになっています」。これはまさに、じんましん治療の最前線からのメッセージです。
最後に
じんましんは、見た目にも不快で、かゆみや腫れで日常生活に支障をきたすこともあります。しかし、昔と比べて治療の選択肢が格段に増え、「原因がわからないから仕方ない」と諦める必要は全くありません。
もしじんましんでお悩みでしたら、ぜひ一度ご相談ください。諦めずに、一緒に快適な毎日を取り戻しましょう！